超音波観察装置とは?

超音波観察装置とは?

超音波ってどのようなもの?

20,000Hzより高い音で、「聞くことを目的としない音、人が聴くことができない音」などと定義されています。聞こえる音でも聞くこと以外に利用すれば超音波です。人が聴きとれる音は、20~20,000Hzくらいまでで可聴周波数といいます。人は300Hz~4000Hzの周波数を声として発しています。その超音波の伝搬速度を音速といい、音波が伝わる物質により固有の値をとります。生体内の各組織により音速は異なり、超音波の通りやすさも異なります。脂肪や臓器、軟部組織など生体内の音速はおおよそ1,500㎧前後になっています。骨は硬いために4,000㎧付近です。そしてその通りやすさを示す指標を音響インピーダンスといいます。超音波の反射は、音響インピーダンスの差のある部分(境界)で起こり画像を描出しています。音響インピーダンスの差が小さいと入射した超音波の一部は反射し残りは透過します。逆に差が大きいと境界でほとんどが反射してしまうわけです。骨などが音響インピーダンスの差が大きい組織といえるわけです。このように生体内の検査では、超音波を発射し各組織からの反射(エコー)を利用して画像を描出しています。

が骨とすると、超音波は音響インピーダンスの差のある境界で反射し、骨の表面の黄色い部分だけが画像としてモニターに描出されます。音響インピーダンスの差が大きいために骨の中の赤い部分は描出されません。

 

超音波画像観察装置で使用する超音波ってどのようなもの?

超音波検査では、数MHz~十数MHzの周波数を使用し体内を検査します。表層に近い浅い部位は7.5MHz~18MHzの高い周波数を使用し、臓器などの深部を検査する場合は2.5MHz~6MHzの低い周波数を使用します。これは超音波の減衰という特徴によるものです。減衰とは超音波が生体内を進むにつれて音圧が減少します。この超音波の伝搬に伴う音波の振幅低下を減衰といいます。周波数が高いほど、減衰が大きく深部が観察しにくいですが、表層の画像はより鮮明に描出できます。よって我々柔道整復師が使用するのは高周波数の超音波を選択するということになります。

 

実際に超音波装置をどのように使用しているの?

平成22年12月の厚生労働省の通知では、施術所内での使用は法令上問題ないと明記されています。ただし診療の補助として使用することはできないとも書かれています。これは病院等で検査技師が行うような内科的疾患を見てはだめです、ということです。我々柔道整復師は施術所内で運動器に対してのみ超音波検査ができます。この約束事を必ず守らなければなりません。それを踏まえて来院される患者さんの症状の原因追及のため、問診視診触診徒手検査のほかに超音波検査を3診の参考として行っています。

最近の超音波装置は何が良いの?

今から20数年前に柔道整復師の業界に超音波画像観察装置が現れました。その当時はアナログ機で画像描出の精度は低く、主に骨折の判断に使用していました。それが今や機器はデジタル化され高周波プローブが可能となり、画像フィルター技術の進歩によりノイズが大幅に軽減され、描出される画像は繊細で鮮明なものとなりました。その表面分解能力はMRIを凌駕するほどです。しかもほかの検査機器に比べて安価であることも魅力です。

  • 肩関節腱板
  • 腓腹筋
  • 肋骨骨折

 

なぜ今超音波が必要なの?

超音波の魅力をまとめますと、

①原因究明に役立つ
②骨だけでなく軟部組織の評価が可能
③デジタル化され分解能力が高い
④動的検査が可能
⑤血流評価が可能
⑥非侵襲
⑦簡便に行える
⑧院外への持ち出しも可能(機器による)

などがあげられます。今までは先述した3診と徒手検査により病態を推測し施術していたといえますが、超音波観察を施行することにより病態を視覚化できるようになり、その病態に合わせた施術法を行えることができます。また病態の経過観察を行うことで施術に対してより正確なアプローチが可能となり、より早く、より的確に治癒に導くことができます。施術の根拠を可視化することによりエビデンスが確立されると思います。

 

超音波画像はどのように読影するの?

運動器の超音波画像は通常Bモードで表示されます。Bモードとは基本の白黒画像です。超音波観察ではプローブを観察対象に当てますが、描出される画像は当てた側から見たものではなく横から見た画像が描出されます。プローブをナイフとすると、ナイフで切った断面図を表示しているということです。下記の写真は、フルーツゼリーを超音波で観察したものです。プローブはゼリーの上から当てていますが、描出される画像は横から見たものとなります。

 

超音波のセミナーや研究発表などは行われているの?

もちろん行われています。例を挙げますと、近畿ブロックには近畿超音波画像観察小委員会という組織があります。例年開催されている近畿学術大会で委員会による研究発表や報告会、講演会が行われています。またその他にも、年間数回のセミナーなどを開催している社団もあります。誰でも参加可能ですので、お問い合わせの上ご参加してみてはいかがでしょうか。

 

公益社団法人 日本柔道整復師会 〒110-0007 東京都台東区上野公園16-9
tel. 03-3821-3511

 
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