実技解説

実技解説

日整テーピング教室

テーピングはスポーツや医療の中で傷害の治療・予防をするために、関節・筋肉・靭帯などにテープを施します。
主な目的として、スポーツなどの前、傷害を起こしやすい部位や以前に受傷した部位に対して、補強し傷害の発生を予防します。過度の柔軟性のある関節の人に対し、不安定な関節を固定し安定性を高めるためにも役立ちます。

また、捻挫、打撲、挫傷などが起きた場合、医療機関に診察されるまでの間、固定、圧迫をしての応急処置や治療、機能回復期においては受傷部分を支持し、疼痛を緩和させることにも使われます。

テーピングの効果としては、受傷した部位を固定し悪化を防いだり、動揺による痛みの緩和、圧迫して内出血や腫脹を抑えることができます。受傷して弱くなっている部分の補強や、以前に負傷を経験した人に対しては、サポートすることにより再び負傷するかもしれないという不安の除去に効果があります。また、関節の可動域を制限して運動を行わせる場合や、正しい動作に導くためのフォームの矯正にも有効です。
テーピングを行うときは、競技特性やグランドコンディションなどを考慮し部位、目的に合ったテープや施行関節角度などを良く考慮し正しく効果的なテーピングを行いましょう。

 

膝関節予防テーピング

内側側副靭帯損傷予防
内側側副靭帯損傷予防 スロー編

内側側副靭帯損傷予防

大腿部が内旋して下腿部が外旋し、膝関節が身体の中心に向かって“くの字”“逆くの字”に曲がり、内側側副靭帯が損傷するケースが多くみられます。そこで、膝関節が身体の中心に向かって“くの字”“逆くの字”に曲がらないように制限するテーピングを施します。

  • テーピング肢位固定用テープ50mm・伸縮性テープ50mm・75mmを用意します。
    テーピング肢位は、踵に3~5cmの台を置き、膝関節を15~20度屈曲させます。アンダーラップを皮膚に密着させながら巻きます。
  • アンカー(固定用テープ50mm使用)を大腿部の中央部と下腿三頭筋上部に巻きます。
  • バーチカル(伸縮性テープ50mm使用)を下腿三頭筋上部のアンカーから内側側副靭帯をサポートするために、大腿部のアンカーまで垂直にテープを貼ります。
  • Xサポート(伸縮性テープ50mm使用)を内側副靭帯の上でX状に交差するように下腿三頭筋上部のアンカーから大腿部のアンカーまでテープを貼ります。テープが膝蓋骨にかからないように注意します。
  • バーチカル(固定用テープ50mm使用)を先のテープの上に重ねて貼ります。このときテープが断裂しにくいように膝蓋骨の横でテープ端を折り返します。
  • Xサポート(固定用テープ50mm使用)を先のテープの上に、内側副靭帯の上でX状に交差するように下腿三頭筋上部のアンカーから大腿部のアンカーまで重ねて貼ります。
  • スパイラル(伸縮性テープ50mm使用)は、下腿部のねじれや十字靭帯のサポートを目的としたテープです。特に下腿部の内旋制限に有効です。まず、下腿部内側から膝窩部を通して、大腿部全面で止めます。次に大腿部全面から膝窩を通して、下腿部外側で止めます。
  • コンプレッション(スプリット)(伸縮性テープ75mm使用)は、膝関節を圧迫し、膝関節の動きの制限を目的としたテープです。まず、テープの非粘着面で長さを計ります。テープの両端を中央から裂きます。テープが膝蓋骨にかからないように、上のテープは膝蓋骨上部に貼り、下のテープは膝蓋骨下部に貼ります。前面から見ると、膝蓋骨にテープがかかっていないので、膝関節の伸展、屈曲を制限しません。
  • ねじりを入れた(固定用テープ50mm使用)を内側側副靭帯部でクルクルとねじって貼ります。こうすることによって固定力を増す役割をします。下腿三頭筋上部のアンカーから貼り、内側側副靭帯部でねじり、大腿部まで貼ります。
  • Xサポートを内側側副靭帯部でテープがX状に交差するようにねじりを入れて貼ります。
  • アンカーをバーチカル、Xサポートが剥がれないようにアンカーを巻きます。
  • サーキュラーを最初のアンカーまで巻いて完成です。後面からみると、膝蓋骨部、膝窩部にテープがかからないので、膝関節の伸展、屈曲を制限しません。

 

足関節予防テーピング


内反捻挫予防

内反捻挫予防 スロー編

内反捻挫予防

足関節の捻挫の多くは内反して起こります。そこでこれを予防するために、足関節の底屈、背屈運動を極端に制限することなく、運動機能の低下を最小限にとどめながら、内反を制限するテーピングを施してみましょう。

  • 足関節を約90度に保持し、アンダーラップを皮膚に密着させながら巻きます。
  • アンカー(非伸縮性テープ38mm使用)を下腿三頭筋下部に沿って巻きます。
    この時、腓腹筋部を強く巻くと運動機能が低下するので注意します。
  • スターアップをアンカーの内側から距骨関節面の後方を通るように、足の底を通して、アンカーの外側で止めます。
    次にアンカーの内側前部から足の底を通して、アンカーの外側後部で止めます。
    続いて、アンカーの内側後部から足の底を通して、アンカーの外側前部で止めます。
    足関節の底屈運動を妨げないためスターアップは足の底は重ねるように貼ります。
    スターアップが剥がれないようにアンカーを巻きます。
  • ホースシューを足の内側から踵を通して、足の外側で止めます。
    テープは第一中足骨中央から始まり、内側楔状骨および舟状骨のやや下縁より下、踵骨隆起の最後方を通るように巻きます。
  • サーキュラーを1/2ずつずらして最初のアンカーまで巻いていきます。
  • フィギアエイトを固定の強化、内反の制限のために巻きます。
    テープは足の外縁から始まり、足の甲を通して、アキレス腱を通り足の甲でテープがX状になるように交差します。
    足の底を通して、足の甲でテープを止めます。

 

足関節予防テーピング
内反捻挫予防 エキストラテープ


内反捻挫予防
エキストラテープ

内反捻挫予防
エキストラテープ スロー編

内反捻挫予防 エキストラテープ

さらに関節運動を制限する時に行います。

  • 足関節を約90度に保持し、アンダーラップを皮膚に密着させながら巻きます。
  • エキストラテープはテーピング部位の関節運動を更に制限したい場合に用いるテープです。テープは伸縮性のあるものを使用します。
  • アンカー(非伸縮性テープ38mm使用)を下腿三頭筋下部に沿って巻きます。この時、腓腹筋部を強く巻くと運動機能が低下するので注意します。
  • スターアップをアンカーの内側から距骨関節面の後方を通るように、足の底を通して、アンカーの外側で止めます。
    次にアンカーの内側前部から足の底を通して、アンカーの外側後部で止めます。
    続いて、アンカーの内側後部から足の底を通して、アンカーの外側前部で止めます。

  • 足関節の底屈運動を妨げないためスターアップは足の底は重ねるように貼ります。
  • ヒールロック(伸縮性テープ50mm使用)を行います。
    外顆(外くるぶしの)から踵の外側を通して、足の甲へ向かいます。
    足の甲から踵の内側を通します。再び足の甲へ戻して、上方へ向かいます。
    踵を通るテープは距腿関節と踵骨の後突起部を結ぶ線に直交するように巻きます。
  • サーキュラーを行います。
    その後、非伸縮性テープ38mmでホースシュー、サーキュラーを行い完成です。

 

足関節応急処置テーピング


内反捻挫

内反捻挫 スロー編

内反捻挫の場合

捻挫直後で不安定な足関節を固定する目的で行います。
腫脹が出るため、アンカーテープは環状に巻くことは避けて、腫脹の逃げ場を作ることが大切です。

  • 固定用テープ38mmを用意します。
  • アンカーを下腿三頭筋(ふくらはぎ)下部に、すねの前面を開けて貼ります。開けて貼るのは捻挫直後で腫脹が出ていて、その逃げ場を作るためです。
    足の甲のアンカーも前面を開けて貼ります。中足指節関節にかからないように巻きます。
  • スターアップをアンカーの内側から距骨関節面の後方を通るように、足の底を通して、アンカーの外側で止めます。
  • ホースシューを足のアンカーの内側から踵を通して、アンカーの外側で止めます。
    テープは第一中足骨中央から始まり、内側楔状骨および舟状骨のやや下縁より下、踵骨隆起の最後方を通るように巻きます。
  • 先のスターアップのテープに1/3から1/2程度重ねてスターアップテープを貼ります。
  • 重ねたスターアップテープの上に、1/3から1/2程度重ねてホースシューを貼ります。
  • 同じようにしてスターアップと、ホースシューを籠を編むように交互に貼っていきます。
  • すねの全面を開けて、スターアップを固定するテープを貼っていきます。
  • ホースシューが剥がれないようにテープを貼って完成です。
 

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