超音波画像観察日記 20190218 ⑥~⑦
超音波画像観察日記⑥≪超音波の講習会やセミナーについて・近畿ブロック≫
近畿ブロックで開催される超音波観察法の講習会やセミナーについてご紹介したいと思います。「超音波観察装置を導入したが使いこなすために観察法のスキルアップをしたい」や「学校で教えてもらう内容よりもっと臨床的な症例を見てみたい」というご意見に少しでもお役に立てるように、実は近畿各社団では超音波の講習会やセミナーを開催しています。毎年開催される近畿学術大会では、近畿超音波画像観察委員会が専用会場を設けて基礎講習や実技講習を行います。時には外部講師をお招きし、より専門的な講習を行うこともあります。この学術大会はだれでも参加可能です。事前の申し込みなども必要ありませんので、日時と場所だけを確認していただきご来場ください。もちろん学生さんの参加もOKです! 今年2019年の近畿学術大会は滋賀県大津市のピアザ淡海で、10月20日(日)に開催されます。第Ⅲ会場では近畿超音波画像観察委員会が報告会を予定しています。 その他にも、近畿各社団では年間1~4回程度の講習会やセミナーを開催しています。兵庫県柔道整復師会では毎年一回講習会を開催しています。昨年は12月に開催し、この講習会は学生さんの参加も可能です(今年はまだ未定)。京都府柔道整復師会では年間4回程度初心者セミナーを開催しています。ただしこのセミナーは京都府の会員と株式会社エス・エス・ビーの顧客のみが参加可能となっています(平成31年度からは京都医健専門学校の学生は参加可能となるようです)。滋賀、奈良、和歌山県の各柔道整復師会も今後開催をされていくようです。開催日時や会場、参加資格については各府県柔道整復師会事務局にお問い合わせください。(写真は第43回近畿学術大会兵庫大会での超音波会場の様子)
超音波画像観察日記⑦≪筋肉の超音波観察≫
今日は超音波で筋肉の観察をしてみましょう。画像は腓腹筋の長軸画像です。ちょうど筋腱移行部あたりですね。筋肉は透過性がよく比較的に低エコーとして描出されます。筋束を取り囲む筋周膜が高エコーに描出されて、筋線維配列を明瞭に確認することができますね。
下の画像は腓腹筋の肉離れの超音波画像です。40代男性の患者さんで、バレーボールの指導中にボールを捕ろうとして右足で踏み込んだ姿勢をとった際に負傷されました。①画像は初診時のもの。上の正常画像と比べると違いが一目瞭然ですね。筋線維配列が乱れ一部血種も確認できます。経過良好でしたが、2週間経過したところでこの患者さん、勝手にバレーボールに復帰してしまったんです(泣)。一か月は絶対にアカン!って言ってたのに…。結果、再受傷し再び来院。超音波で観察すると②の画像の状態でした。筋線維の断裂部が広がり大きな血種が確認できました。運動休止と圧迫固定等を施行し、一か月後には③の画像のように血種は肉芽器質化し、足関節底背屈運動に応じた筋線維の動きも超音波で確認できました。徐々にスポーツに復帰してもらい、再発は認めなかったため治癒としました。肉離れは日常よく遭遇するケガですね。軽傷のものもあれば重症のものもあります。厄介なのは徐々に重症化するケースや再発を繰り返してしまうケースです。しかしこのような場合は超音波観察が有効です。今回のように初診時に小さいけれど血種が確認できたら、重症化する可能性もあることを十分に説明するべきですね。また超音波による経過観察をしっかり行い、再発防止のための治癒機転を見極めることが必要ですね。
(公社)滋賀県柔道整復師会 川戸 典知
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