超音波画像観察 20190315⑧~⑨

超音波画像観察 20190315⑧~⑨

超音波画像観察≪肩関節の観察≫⑧

超音波で肩関節の観察を紹介します。肩関節と言えば、腱板に纏わる肩の痛みが多いですね。ということで腱板の観察法を中心に行ってみましょう。下の写真を参考にしてください。まず肩関節の観察では、ポジションが大事です。基本的には座位です。まず肩関節を前方からみていきますね。観察する側の手を大腿にのせると、肩関節が15度内旋位となります(①)。この肢位で結節間溝が正面を向くので正面からプローブをあてると結節間溝におさまる上腕二頭筋長頭腱が描出されます(③)。このまま肩関節を外旋しますと、肩甲下筋腱が描出されます。また烏口肩峰靭帯も描出でき、肩関節可動制限の責任病巣を追及できます。次に肩関節の外側上方からみてみます。この外上方走査では、肘を後方に引き肩関節を軽度伸展位とします(②)。そうすると腱板が肩峰下から前方に出てきます。ここでは棘上筋腱、棘下筋腱や肩峰下滑液包、大結節の病変の観察が行えます(④⑤)。

超音波画像観察⑨

肩関節腱板断裂の症例です。40代女性の患者さんで、お琴の先生をされていて、夜は飲食店で働いておられます。日頃から右肩関節に多少の痛みや違和感があったようです。飲食店で料理をお客さんに提供する際に右手で差し出し肩関節を外転動作したときに激痛を感じ、翌日来院されました。初診時には、肩関節全方向に自動運動が不能、夜間痛もありあまり眠れなかったとのこと。他動的にも疼痛のため動作不能。腱板付着部の大結節に圧痛強。諸症状から腱板断裂を懸念したために、超音波観察を施行。正常例でみられる腱板のfibrillar patternが消失し腱板欠損部が確認できました。この欠損部は水に置換されているため低エコー像として描出されています(①長軸②短軸)。大結節にも不整像がみられるために、お琴の演奏肢位などにより反復性に損傷されていた可能性もあります。患者さんに状態を説明し、整形外科での検査をするように言いました。対診先の先生から、腱板断裂ですがこのまま保存的に施術をするよう依頼されましたので、継続加療しました。一か月経過後には、自動挙上可能、二か月後には多少拘縮が残存していますが、全方向に自動運動可能になりました(⑤⑥)。超音波画像で腱板欠損部が水に置換されていましたが、この部分は時間の経過とともに水が吸収され、perobursal fatが陥凹していきます(③短軸)。さらに経過すると断端が短縮するためか腱板が平坦化します(④長軸)。


(公社)滋賀県柔道整復師会 川戸 典知

 

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