超音波画像観察日記- ⑭

超音波画像観察日記- ⑭

超音波画像観察≪肩関節石灰沈着腱板炎症例報告≫⑭

今日は肩関節石灰沈着腱板炎の患者さんの症例を紹介します。40代女性の方で右肩痛を主訴に来院されました。昨夜は痛さで眠れず仕事を休んで午前中に来院された次第です。関節の可動性は全方向において疼痛のため不能。自発痛もあり誘因となることも心当たりがないようです。諸症状から急性石灰腱板炎を疑い超音波観察。案の定、棘下筋腱に音響陰影を伴う石灰を認めました。ドプラによる血流反応はこの時点でははっきり確認できず。これは触れてはいけない病状ですので、紹介状を書いて整形外科を受診していただきました。ドクターからは「ご指摘通りの腱板石灰炎です」とお返事をいただき注射と投薬治療を施行していただきました。3日後再来院されましたので超音波観察したところ、初診時よりドプラによる血流反応がはっきり確認できました。

もう一つ、同じ腱板石灰炎の症例を報告します。こちらの患者さんは30代の女性です。2,3日前からなんとなく肩に痛みがある、ということで来院されました。自動運動も全方向において比較的良好で他動的に最大挙上した際などに痛みがある、という程度のものでした。仕事でよく使うからかな、と患者さん本人が分析されていましたが思い当たる誘因はありません。腱板部の圧痛は顕著に認めました。超音波観察しましたところ棘下筋部に音響陰影を伴う石灰を確認できました。「ズキズキしませんか?」「動かしたときに少し痛むだけで疼いたりはしません」…う~ん、でも明らかに石灰沈着してるしなぁ…。「これは近々激しい痛みがでてくるかもしれないので明日にでも病院へ行きましょう」と説明しましたが、「そんな痛くないし、また次の仕事の休日に行きますわ」とのお返事。「いつ激痛が発症するかわからないので、痛くなればすぐ病院へ行くように!」と紹介状を渡しました。案の定、翌日に「先生言ってたようにズキズキ痛くなって寝られなかった!」と電話があり「渡した紹介状持って病院行くように」と説明し行っていただきました。ドクターから石灰腱板炎とお返事をいただきました。今回の場合のように来院時に痛みは強くなく、単なる肩痛と判断して施術していたら、施術により痛みが強くなったと勘違いされるところでした。超音波観察でお互いが救われた症例でした(^_-)-☆

(公社)滋賀県柔道整復師会 川戸 典知

 

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