超音波画像観察≪橈骨頭部・頸部の骨折症例報告≫⑯

超音波画像観察≪橈骨頭部・頸部の骨折症例報告≫⑯

超音波画像観察≪橈骨頭部・頸部の骨折症例報告≫⑯


今回は肘を負傷された患者さんを報告します。令和元年11月某日、昼の休憩時間に電話がかかり応対すると「トラックの荷台から転落して、肘が動かなくなった」とのこと。ある程度の状況を聞き取りまして、これは骨損傷かもと考え「すぐに来てください」と応対しました。

40代の男性。診察しますと、受傷後1時間程度でしたが肘関節全体の腫脹を認め、屈伸回旋動作は疼痛のため著しく制限されていました。疼痛が強いので慎重に触診をすすめ、諸症状から橈骨頭部・頸部が怪しい。「手をつきましたか?」「手をついた覚えはないけど肘を打った覚えもない。どうなったかわからない」 
エコーの出番です。後方関節に血種を伴う腫脹を認めました。新鮮出血ですので高輝度エコーですね。これは水腫と違う所見です。益々骨折の疑いが濃厚。では橈骨頭を診ていくと、見事に予感が的中。橈骨頭部・頸部の骨折を確認できました。おそらく手をついたのでしょうね。このままでは近い将来変形関節症は間違いないので、「手術適応になるかも」とお伝えし、紹介状とともに病院へ行ってもらいました。

案の定、レントゲン検査、CT検査で同部位の骨折、上腕骨小頭関節軟骨の遊離の診断をいただき、手術適応となりました。

(公社)滋賀県柔道整復師会 川戸 典知

 

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