超音波画像観察≪超音波観察初心者セミナーの報告≫⑲

超音波画像観察≪超音波観察初心者セミナーの報告≫⑲

今回は超音波観察初心者セミナーの報告です。2019年11月30日(土)奈良県柔道整復師会館にて開催しました。テーマは「足関節」。講習会の内容の一コマをご紹介します。
超音波観察を行う上で大事なのは解剖学です。これはどの部位を観察する上でもいえることですが…。ということで、聴講される先生には釈迦に説法なのは重々承知していますが、足関節の解剖学からお話をさせていただきました。特に骨の形状、靭帯や腱の走行はイメージできるように覚えておくことが必要ですね。では今回は外側靭帯の前距腓靭帯(ATFL)を超音波で描出してみます。ATFLを描出するには、腓骨付着部と距骨付着部の形状を覚えてください。腓骨の角状と距骨のなだらかな形状が目印です。詳しく言いますと、腓骨下端を短軸走査しますとなだらかなラインから角状ラインに変化するところがあります。そこがATFL腓骨側の付着部です。そのときの距骨側は角状のラインになっているはずです。つぎに腓骨側のプローブ位置を固定して距骨側のプローブを遠位に回転し距骨のなだらかラインを描出するとATFLのfibrillar pattern(線状高エコーの層状配列)が描出されます(画像①)。下にその順番を整理しときますね。ちなみに踵腓靭帯、後距腓靭帯は厚さ約6mmに対してATFLは厚さが約2mmで、外側靭帯では最脆弱部位となります。内反捻挫すれば損傷されやすいわけです。もうひとつ、ATFLに拮抗するのは内側の前脛距靭帯です。ATFLが損傷されると距骨の内旋、前方移動が生じ予後の背屈制限が問題になってきますね。超音波観察でしっかりATFLの損傷状態を把握し、病態にあった施術を施行し早期に完全治癒を目指すことが大事です。次回もこの講習会の内容の一コマを紹介します。


(公社)滋賀県柔道整復師会 川戸 典知

 

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