⑨「学んでみよう(国試対策)」-2019年12月号

⑨「学んでみよう(国試対策)」-2019年12月号

今月は、【2020年版 必修問題対策】の「柔道整復学理論」20問を出題させていただきます。

12月分【必修問題】問題10問 「柔道整復学理論」(実技編を含む)(協力 ジャパン国試合格)

【必修問題】問題10問 「柔道整復学理論」(実技編を含む)

問題1 肩鎖関節上方脱臼の固定で正しいのはどれか。
1. 8字帯固定
2. リング固定
3. セイヤー(Sayre)絆創膏固定
4.ロバート・ジョーンズ(Robert-Jones)固定

問題2 肩関節前方脱臼の整復法で正しいのはどれか。
1. ヒポクラテス(Hippocrates)法は術者の踵部で骨頭を圧迫する。
2. ゼロポジション牽引では肩関節を170度屈曲、170度外転位まで挙上させる。
3. スティムソン(Stimson)法では患側肩が診察台の上にしっかりと乗るように位置する。
4. コッヘル(Kocher)法で上腕を外旋する際に牽引を持続したまま行う。

問題3 肩関節前方脱臼で大結節骨折を合併し転位が大きい場合の固定肢位で正しいのはどれか。
1. 肩関節内転、内旋位
2. 肩関節内転、外旋位
3. 肩関節外転、内旋位
4. 肩関節外転、外旋位

問題4 肘関節後方脱臼で誤っているのはどれか。
1. 肘関節は屈曲30~40度で弾発性固定される。
2. 少年期での受傷の場合は上腕骨内側上顆骨折の合併に留意する。
3. 肘頭圧迫屈曲整復法は仰臥位で施行する。
4. 整復後は手指部の感覚の有無を確認する。

問題5 肘関節後方脱臼の固定で正しいのはどれか。
1. 固定範囲は上腕近位部から手関節手前までとする。
2. 前腕は回外位で固定する。
3. 肘窩部に金属副子が当たるよう固定する。
4. 腫脹が強い場合は鈍角屈曲位で固定する。

問題6 肘内障で正しいのはどれか。
1. 前腕に強い回外力が加わり発生する。
2. 肘関節伸展位で来所する。
3. 局所の腫脹を認める。
4. ある程度の肘関節運動は可能である。

問題7 示指PIP関節背側脱臼の固定で正しいのはどれか。
1. 固定は手関節を必ず含める。
2. MP関節90度屈曲位で固定する。
3. PIP関節20度屈曲位で固定する。
4. DIP関節伸展位で固定する。

問題8 腱板損傷で正しいのはどれか。
1. 主に肩関節の機能障害は認めるが、疼痛は認めない。
2. 陳旧性の場合は棘上筋や棘下筋の萎縮がみられる。
3. スピードテストは損傷の程度を評価する徒手検査である。
4. ドロップアームサインは外転30度で評価する。

問題9 上腕二頭筋長頭腱損傷の徒手検査法はどれか。
1. チェアーテスト (chair test)
2. インピンジメントサイン(impigement sign)
3. ペインフルアークサイン(painful arc sign)
4. スピードテスト(speed test)

問題10 大腿四頭筋打撲の症状で誤っているのはどれか。
1. 腹臥位で患側膝関節を屈曲した際、股関節屈曲位となることがある。
2. 腹臥位で他動的に膝関節を徐々に屈曲させると疼痛が出現する。
3. 仰臥位で他動的に股関節を徐々に屈曲挙上させると疼痛が出現する。
4. 座位で膝関節自動伸展を指示した際に抵抗を加えると疼痛が出現する。

問題11 膝関節内側副靭帯損傷に対する検査法はどれか。
1. ワトソン・ジョーンズ(Watoson-Jones)テスト
2. ステインマン(Steinmann)テスト
3. ラテラルピボットシフト(lateral pivot shift)テスト
4. グラビティ(gravity)テスト

問題12 エンドポイントの有無を確認する検査法はどれか。
1. ラックマンテスト
2. Nテスト
3. 圧迫アプライテスト
4. マックマレーテスト

問題13 膝関節半月板損傷の症状で正しいのはどれか。
1. 安静時痛
2. 嵌頓症状
3. 感覚異常
4. 不安定感

問題14 膝関節内側側副靭帯損傷の固定で誤っているのはどれか。
1. ジョーンズ包帯を用いる。
2. Ⅰ度損傷では2〜3週間固定する。
3. 膝蓋骨周囲には綿花リングを用いる。
4. 膝関節伸展位で固定する。

問題15 下腿三頭筋の肉ばなれの発生頻度を不等号で示した。正しいのはどれか。
1. 腓腹筋外側頭>腓腹筋内側頭
2. 10歳代>30歳代
3. マラソン>中距離走
4. 求心性収縮>遠心性収縮

問題16 アキレス腱断裂の固定で正しいのはどれか。
1. 固定期間は受傷後4~6週を目安とする。
2. 膝関節伸展・足関節自然下垂位で固定する。
3. 固定範囲は下腿近位部~足MP関節手前までとする。
4. 固定具の形成が不適当であると脛骨神経麻痺を起こしやすい。

問題17 距骨の前方引き出しテストにおいて著明な動揺性を認めた場合の圧痛点で正しいのはどれか。
1. 外果の前下方
2. 内果の後方
3. アキレス腱の外側部
4. 外果の後下方

問題18 足関節外側靱帯損傷に対するテープによる固定で正しいのはどれか。
1. 足関節0度を維持して行う。
2. 外返し運動が起こらないように注意する。
3. テープは外側から貼付しはじめる。
4. テープは同走行で3枚程度貼付する。

問題19 下腿骨骨幹部骨折で固定による圧迫に注意しなければならない部位はどれか。
1. 大腿中央部
2. 大腿遠位部
3. 下腿近位部
4. 下腿遠位部

問題20 デゾー包帯法について正しいのはどれか。
1. 肘関節脱臼に対する代表的な包帯法である。
2. 腋窩枕子は健側に挿入する。
3. 第3帯は患部の固定と患肢の保持を目的とする。
第2帯で腋窩枕子の固定を行う。

以上、計20問

 

回答 解説 コメント

問題1
【解答】 4 【柔実】p.213-215
[必修]16.肩鎖関節上方脱臼の固定 E.固定の手順 ア
1.2.3.は鎖骨骨折の固定法。
4.第2・3度損傷で用いる固定法である。①胸部前面を斜めに上行し局所副子上を通過する。②上腕部後面を通過し綿花沈子をあてた肘をまわる。③上腕部前面を通過し局所副子上を通過し健側肩甲骨下部まで貼付する。

問題2
【解答】 4 【柔実】p.223−225
[必修]17.肩関節烏口下脱臼の診察および整復 E. ア. イ.
1.ヒポクラテス(Hippocrates)法では術者の踵部で骨頭を圧迫すると神経・血管損傷を惹起する危険性が高まる。足底部を支点として、内転・内旋を行い整復する。
2. ゼロポジション牽引は、肩関節130~150度屈曲位、130~150度外転位で、上腕骨軸が肩甲棘軸と一致する。
3.スティムソン(Stimson)法では患側肩が診察台の外に出るように位置する。

問題3
【解答】 4 【柔理】p.198,267
[必修]18.肩関節烏口下脱臼の固定 B. 固定肢位 ア.患者の姿勢・肢位(座位姿勢、患肢肢位)
肩関節前方脱臼に伴う大結節骨折は、脱臼時の腱板による裂離骨折で、転位が大きい場合には、棘上筋の作用を考慮して肩関節を外転、外旋位で固定する。

問題4
【解答】 3 【柔実】p.234-235,237
[必修]19. 肘関節後方脱臼の診察および整復A.整復E.整復操作
肘頭圧迫屈曲整復法は患者を側臥位にして実施する。手関節部を助手が把持し、術者は両母指を肘頭に当て、他4指で肘関節前面を把持する。両母指で肘頭を圧迫し、半円を描くように整復する。

問題5
【解答】 4 【柔実】p.236-238
[必修]20. 肘関節後方脱臼の固定 E.固定の手順
肘関節後方脱臼の固定は、肘関節90度屈曲位、前腕中間位または回内位で、上腕近位部からMP関節手前まで固定する。固定材料にはクラーメルなどの金属副子を用い、副子が肘関節の後面に当たるよう固定する。腫脹が著明であり患者が疼痛や圧迫感を強く訴える時には固定肢位を鈍角屈曲位とする。

問題6
【解答】 4 【柔理】p.274-275
[必修]21.肘内障の診察および整復 A.診察 ア.病歴の聴取 イ.患者の観察 ウ.患部の状態
肘内障は学例前の2〜4歳の幼少児特有の障害である。
1.発生機序は親が手を強く引っ張り、その際に前腕回内力が加わり発生する。このことからpulled elbow syndrome(肘引っ張り症候群)とも呼称される。
2.多くは前腕回内位、肘関節軽度屈曲位で来所する。
3.肘内障では、局所の腫脹、発赤は認めない。また、認める場合には骨端線離開や軟骨損傷との鑑別が必要となる。
4.ある程度の肘関節運動(屈曲、回外)は可能であるが、不安感や疼痛のため一定以上の運動はしないことが多い。

問題7
【解答】 3 【柔実】p.249
[必修]22.示指PIP関節背側脱臼の固定 B. イ.
PIP関節背側脱臼の固定肢位は、MP、PIP、DIP関節20~30度屈曲位とし、前腕遠位部から指先端まで固定する。患者に対し、手を使わないことに協力が得られる場合は手関節を制限しなくてもよい。

問題8
【解答】 2 【柔実】p.258-259
[必修]23.肩腱板損傷の診察 A.診察 D.検査手技・動作
1.主に肩関節の機能障害や損傷部の疼痛を認める。
2.陳旧性の場合,棘上筋や棘下筋の萎縮や肩関節の拘縮がみられる。
3.スピードテストは上腕二頭筋長頭腱炎の徒手検査法である。腱板損傷のテスト法は、ペインフルアークサイン、クレピタス、インピンジメント徴候、ドロップアームサインである。
4.ドロップアームサインは、肩関節90度で評価する。

問題9
【解答】 4 【柔理】p.291,432-433
[必修]24.上腕二頭筋長頭腱損傷の診察 D.検査手技・動作
1.チェアーテストは上腕骨外側上顆炎の徒手検査法で、肘関節伸展・前腕回内位で椅子を持ち上げさせることで疼痛が誘発される。
2.インピンジメントサインは腱板断裂の徒手検査法で上肢を軽度内旋し挙上する際に肩峰に上腕骨を押圧することで疼痛が誘発される。
3.肩峰前縁と上腕遠位部を把持し、他動的に肩甲骨平面上に外転させて、外転60~120度間で疼痛が出現するが、その他の領域では疼痛を認めないもので、疼痛域に雑音を触知するとクレピタス(crepitus)と呼ぶ。
4.スピードテストは上腕二頭筋長頭腱の徒手検査法で、肘関節伸展・前腕回外位で肩関節屈曲45度から肩関節を屈曲させて抵抗を加えるが、その際に結節間溝部に疼痛が出現すると陽性である。

問題10
【解答】 3 【柔理】p.392 【柔実】p.362
[必修]25.大腿部打撲・肉ばなれ、大腿四頭筋、ハムストリングスの診察 A.検査手技・動作 イ.検査手技
1.尻上がり現象であり、大腿四頭筋の損傷で出現することがある。
2.損傷部を伸長させる検査であり、大腿四頭筋の損傷で疼痛が出現する。
3.ハムストリングスを伸長させるため、ハムストリングスの損傷で疼痛が出現する。
4.損傷部を収縮させる検査であり、大腿四頭筋の打撲で疼痛が出現する。

問題11
【解答】 4 【柔実】p.369-370,378,383
[必修]26.膝関節側副靭帯損傷の診察 D.検査手技・動作
1.と2.は半月板に対する検査法である。3.は膝関節前十字靭帯損傷に対する検査法である。内側側副靭帯損傷の検査法には4.の他、膝関節不安定性テスト(外反ストレステスト)や牽引Apleyテストがある。

問題12
【解答】 1 【柔理】p.399
[必修]27.膝関節十字靭帯損傷の診察 D.検査手技・動作 イ.検査手技
ラックマンテストは、前十字靭帯損傷の検査法であり、膝関節軽度屈曲位にて、脛骨を前方に引き出した際にエンドポイントが明瞭でない場合、陽性所見となる。
1、2.前十字靭帯損傷の検査法には、前方引き出しテスト、ラックマンテスト、Nテストがある。
3、4.半月板損傷の検査法には、マックマレーテスト、圧迫アプライテスト、ステインマンテスト、ワトソン‐ジョーンズテストがある。

問題13
【解答】 2 【柔理】p.397
[必修]28.膝関節半月板損傷の診察A.診察 ウ.患部の状態
膝関節半月板損傷では、患側の関節裂隙を中心とした荷重時痛や運動痛を訴える。圧痛は患側の関節裂隙にみられる。その他、嵌頓症状、クリック、関節血腫または水腫などの症状がみられる。

問題14
【解答】 4 【柔実】p.379-381
[必修]29. 膝関節内側側副靭帯損傷の固定 A.固定材料 B.固定肢位 E.固定の手順
4.膝関節内側側副靭帯損傷では膝関節軽度屈曲位で固定する。
1. ジョーンズ包帯は下肢の層状包帯である。綿包帯と包帯を交互に巻く方法である。

問題15
【解答】 3 【柔実】p.398-402
[必修]1.下腿三頭筋肉ばなれの診察 A.診察 ア.病歴聴取(主訴、受傷原因・肢位、外力の働いた部位)
1.二関節筋である腓腹筋の内側頭筋腹からアキレス腱への筋腱移行部に好発する。
2.30歳代を境に年代が高くなるにつれて高くなる。
3.距離が長くなるにつれて高くなる。
4.踏み込んだ際などの腓腹筋の遠心性収縮で発生する。

問題16
【解答】 1 【柔実】p.390~391,395
[必修]31.アキレス腱断裂の固定 B.固定肢位E.固定の手順
本症は膝関節屈曲・足関節自然下垂位(最大底屈が良いとする意見もある)になるよう大腿中央部から足MP手前まで金属副子または合成樹脂キャスト材などを用いて固定する。その際、腓骨頭部周辺が固定具等で圧迫されると総腓骨神経麻痺を続発するため留意する。

問題17
【解答】 1 【柔実】p.404-406
[必修]32. 足関節外側靭帯損傷の診察 D.検査手技・動作
距骨の前方引き出しテストは前距腓靭帯損傷のⅡ度損傷以上でみられる。前距腓靭帯損傷における圧痛点は外果の前下部にみられる。内果の後方の圧痛は三角靭帯損傷で、アキレス腱外側部の圧痛は有痛性三角骨で、外果後下方の圧痛は踵腓靭帯損傷でそれぞれみられる。

問題18
【解答】 1 【柔実】p.406
[必修]33.足関節外側靭帯の固定 E.固定の手順 ウ、エ.
足関節外側側副靱帯損傷に対するテープによる固定は特に内返し運動を制動することを目的に行う。固定施行時には足関節を0度位にて維持して行い、テープは下腿内側から貼付しはじめ、足底を通過して外側へと引き上げる。また、3枚程度貼付するが、施行時には前後にずらして貼付する。

問題19
【解答】 3 【柔実】p.310-311
[必修]34.下腿骨骨幹部骨折の固定 E.固定の手順  ア.
下腿骨骨幹部骨折の固定は大腿中央部から足MP関節部手前まで固定する。その際、腓骨神経麻痺を予防するため、腓骨頭周囲を有窓にするか枕子を当てる必要がある。

問題20
【解答】 3 【包固】p.22-31
[必修]35.包帯法 E.冠名包帯法の種類と適応 ア.デゾー包帯
1.デゾー包帯は鎖骨骨折に対する代表的な包帯法である。
2.腋窩枕子は患側腋窩に固定する。
3.第3帯は患部の固定と患肢の保持を目的とする。
4.第1帯で腋窩枕子の固定を行う。

以上、計20問

 

公益社団法人 日本柔道整復師会 〒110-0007 東京都台東区上野公園16-9
tel. 03-3821-3511

 
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