⑪「学んでみよう(国試対策)」-2020年1月号-Ⅱ-新春お年玉 演習問題

⑪「学んでみよう(国試対策)」-2020年1月号-Ⅱ-新春お年玉 演習問題

今月は、2020年版 科目別『柔道整復学理論』50問(2019年12月実施『第4回ジャパン模試』問題)より出題させていただきます。

2020年1月号-Ⅱ-新春お年玉 演習問題(協力 ジャパン国試合格)

問題1 図の骨折で正しいのはどれか。
1. 介達性骨折の可能性が高い。
2. 脛骨は剪断骨折である。
3. 複数骨折である。
4. 急性塑性変形である。

【解答】 1 【柔理5】p.24,27-28,30
[柔・総]6.骨折 C.分類 イ エ オ
【問題の狙い】骨折分類の特徴を説明できる。
【解説】
骨折は様々な観点から分類される。
1.前腕や下腿など2つの骨が連なる箇所では直達性で生じた場合、同高位で骨折することが多く、介達性で生じた場合は骨折の高さが異なる。
2.剪断骨折の場合、骨折線は横骨折となる。
3.複数骨折は1本の骨で2箇所骨折したものをいう。図は多発骨折である。
4.急性塑性変形は幼小児に生じる不全骨折の1つである。

 

問題2 骨折の特徴で正しいのはどれか。
1. 脆弱性骨折は小児に多い。
2. 新鮮骨折は炎症期までの骨折を指す。
3. 複合骨折は骨片骨折を含む。
4.横骨折は骨折線が骨長軸に対して平行に走るものをいう。

【解答】 3 【柔理6】p.25【柔理5】p.25,28,31
[柔・総]6.骨折C.分類ア オ ク
【問題の狙い】骨折分類の特徴を説明できる。
【解説】
1.脆弱性骨折は骨粗鬆症などにより骨の強度が低下して生じる骨折であり、高齢者に多い。
2.仮骨形成期以降を陳旧性骨折といい、それ以前を新鮮骨折という。
3.骨片骨折(T・V・Y字状骨折含む)、粉砕骨折をまとめて複合骨折という。
4.横骨折は骨折線が骨長軸に対して垂直に走るものである。

 

問題3 骨折の合併症とその好発骨折部位との組合せで正しいのはどれか。
1. 外傷性皮下気腫 ――― 肋骨骨折
2. 脂肪塞栓症候群 ――― 手の舟状骨骨折
3. 阻血性骨壊死 ――― 大腿骨骨幹部骨折
4. ズデック(Sudeck)骨萎縮 ――― 上腕骨外科頸骨折

【解答】 1 【柔理5】p.36-39
[柔・総]6.骨折 H.合併症 イ ウ 【問題の狙い】骨折の合併症とその好発骨折部位を理解できる。
【解説】
合併症は併発症、続発症、後遺症に分けられる。
1.続発症に区分される。肋骨骨折の際に肺が損傷されて損傷側の胸壁の皮下に気腫が生じて膨れる。触診により握雪音(捻髪音)を認める。
2.続発症に区分される。骨折時、脂質代謝が変化して血液中の脂肪が脂肪滴となり、あるいは骨損傷部から流出した骨髄脂肪の小滴が血管内に入り込むものと考えられている。大腿骨や骨盤骨骨折などの後や多発骨折時にみられる。
3.後遺症に区分される。骨折による供給血管が損傷されることで、骨片への血行が遮断され、壊死に陥る。大腿骨頸部内側骨折、手の舟状骨骨折や距骨骨折等で起こしやすい。
4.後遺症に区分される。有痛性骨萎縮で、四肢外傷後に四肢末梢部に起こりやすい。小動脈の血管攣縮によるもので交感神経障害と考えられている。代表例として、コーレス骨折が挙げられる。

 

問題4 骨折と好発年齢の組合せで正しいのはどれか。
1. 橈骨頸部骨折 ――――――― 成人期
2. 上腕骨解剖頸骨折 ――――― 老年期
3. 肋軟骨骨折 ―――――――― 小児期
4. 大腿骨頸部骨折 ―――――― 小年期

【解答】 2 【柔理5】p.160,195,218,325
[柔・各・骨]1.頭部・体幹 2.上肢 3.下肢
【問題の狙い】各骨折の好発年齢を説明できる。
【解説】
1.橈骨近位端部での骨折は、頭部は成人に、頸部は小児に多くみられる(骨端線離開もみられる)。
2. 上腕骨解剖頸骨折は、老年期(高齢者)に多く転倒して肩部を強打したときに生じる。
3.小児期の肋骨・肋軟骨は弾力性に富むために骨折はまれである。
4.大腿骨頸部骨折は高齢者に多くみられる骨折で、他には、上腕骨外科頸骨折、橈骨遠位端骨折等があげられる。

 

問題5 高齢者で外傷の自覚なしに骨折を起こした。最も考えられるのはどれか。
1. 第5中手骨頸部骨折
2. 第11肋骨骨折
3. 第7胸椎椎体圧迫骨折
4.踵骨骨折

【解答】 3 【柔理5】p.41,144-145,160-161,362
[柔・総]6.骨折E.小児骨損傷・高齢者骨損傷の特徴 ア 【問題の狙い】高齢者骨折の特徴を理解できる。
【解説】
高齢者で骨粗鬆症の進んだ症例では、咳やくしゃみなどの軽微な外力の骨折の他、ほとんど外傷の自覚なしに骨折している場合がみられるので、安易に「骨折がない」と判断しないなど慎重な対応が必要である。
1.頸部骨折はボクサー骨折またはパンチ骨折ともいわれ、拳を強打することによって発生することが多い。
2.閉経期を過ぎた女性では骨粗鬆症を起こしていることが多いので、軽微な外力、激しい咳でも肋骨を骨折することがある。しかしながら、第11肋骨は浮肋骨なので骨折はまれである。
3.胸椎は胸郭の一部を構成し可動性が少なく後彎状にあるため、強い屈曲力が働くと圧迫骨折が生じる。高齢者では骨粗鬆症のため軽微な外力でも発生するためこれが正解となる。
4.踵骨骨折の大半は高所からの転落や飛び降りによる直達外力で生じる。

 

問題6 触診で誤っているのはどれか。
1. 損傷部より近位側の感覚異常は常に調べるべきである。
2. 繰り返しの外力での損傷は圧痛が認められる。
3. 軋轢音は触診で得られる情報である。
4. 下肢外傷の血管損傷合併の確認に足背動脈の拍動を確認する。

【解答】 1 【柔実】p.14-17
[柔・総]2.運動器損傷の診察E.触診 ウ エ カ 【問題の狙い】触診の方法を理解できる。
【解説】
触診は診察において、患部に直接触れて情報を得る手法である。
1.末梢神経損傷の合併があれば損傷部より遠位側に皮膚の感覚異常が認められ、いかなる損傷でも末梢血管損傷の合併がないとは言い切れず、遠位側の感覚異常は常に調べる必要がある。
2.急性外傷でも繰り返しの外力での損傷でも圧痛が認められる。
3.一般に患部に生じる雑音は耳で聞こえる場合が少なく、手掌などで触れて発見される場合が多いので“触知”と表現される。
4.血管損傷の合併があれば遠位側の動脈が減弱または消失することが多い。一般に、上肢の損傷では橈骨動脈、下肢の損傷では足背動脈の拍動を確認する。

 

問題7 骨折の徒手整復法で正しいのはどれか。
1. 関節内粉砕骨折に適応である。
2. 骨片間に軟部組織が介在している場合は屈曲整復法を適応する。
3. 捻転転位は牽引により自然に整復される。
4.牽引直圧整復法の直圧操作で側方転位を除去する。

【解答】 4 【柔理5】p.92-93
[柔・総]11.初期の施術 A.徒手整復の適応 イ B.整復法 ア 【問題の狙い】骨折の徒手整復法を説明できる。
【解説】
1.粉砕骨折は徒手整復が不可能な骨折であり、関節内骨折は解剖学的な整復が要求される骨折であるため、徒手整復は適応されない。
2.骨片間に軟部組織が介在している場合、徒手整復は適応されない。
3.牽引直圧整復法の操作は、牽引力と直圧を利用して行う。高度な捻転転位は牽引により自然に整復されることは少なく、まず捻転転位の整復を行う必要がある。
4.牽引による短縮転位の整復を待って、骨折端に側方から直圧を加えて、側方転位の整復を完了させる。

 

問題8 軟部組織損傷の初期治療で損傷組織を可能な範囲で伸長させることが望ましいのはどれか。
1. 靱帯損傷
2. 肉ばなれ
3. 筋打撲
4.腱損傷

【解答】 3 【柔理5】p.95,391
[柔・総]11.初期の施術D.軟部組織損傷の初期処置ア イ ウ
【問題の狙い】軟部組織損傷の初期処置を理解できる。
【解説】
軟部組織損傷は、当該組織の損傷断端を密着した状態に置くことが治療の原則となる。
2.筋打撲については、出血を最小限にとどめるため、骨化性筋炎や筋組織の拘縮を予防するために、できるだけ損傷筋を伸展させる肢位にて、RICE処置を行う。

 

問題9 軟部組織損傷の初期処置で誤っているのはどれか。
1. RICE処置が原則である。
2. 出血を最小限に抑える。
3. 観血的治療は選択されない。
4. 損傷断端を密着した状態とする。

【解答】 3 【柔理6】p.96-98
[柔・総]11.初期の施術 D.軟部組織損傷の初期処置ア イ ウ
【問題の狙い】軟部組織損傷の初期処置を説明できる。
【解説】
1.軟部組織損傷の初期処置はRICE処置を原則とする。
2.組織内圧の上昇を防ぐために出血は最小限に抑える。
3.損傷の程度や種類により初期から観血的治療による処置を選択することもある。
4.損傷部の癒合のため損傷断端を密着した状態とすることが原則である。

 

問題10 後療法で乾性の冷罨法はどれか。
1. 氷 嚢
2. 冷湿布
3. パップ
4. アイスパック

【解答】 1 【柔理5】p.107
[柔・各・骨]12.後療法D.物理療法
【問題の狙い】乾性、湿性の冷罨法を説明できる。
【解説】
物理療法の寒冷療法の中で冷罨法がある。罨法には乾性と湿性があり、乾性の冷罨法には氷嚢、氷枕、水枕があり、湿性の冷罨法には冷湿布、パップ、アイスパックがある。

 

問題11 腰椎の骨折で正しいのはどれか。
1. 胸腰椎移行部圧迫骨折は小児に多い。
2. 腰椎肋骨突起骨折でパイル(Payr)徴候がみられる。
3. シートベルト損傷は脊髄損傷の合併が多い。
4. チャンス骨折は高所からの落下による発生が多い。

【解答】 2 【柔理5】p.161-166
[柔・各・骨]1.頭部・体幹 J.腰椎骨折 ア
【問題の狙い】腰椎の骨折の特徴を説明できる。
【解説】
1.胸腰椎移行部圧迫骨折は高齢者に多い。
2.腰椎肋骨突起骨折では、体幹を側屈させると疼痛が増強する。この現象はパイル徴候と呼ばれる。
3.シートベルト損傷は、脊髄損傷を合併することは少ない。
4.チャンス骨折はシートベルト損傷とも呼ばれ、昔の自動車の2点式シートベルトの装着時に衝突した際に、脊柱に急激な屈曲力が作用し、椎体部に圧迫力、椎弓部に牽引力が作用して生じる。3点式シートベルトでも胸骨を支点として同様の機序で生じることがある。

 

問題12 肋骨骨折の合併症で誤っているのはどれか。
1. 緊張性気胸
2. 内胸動脈損傷
3. 腎損傷
4. ティーツェ(Tietze)症候群

【解答】 4 【柔理5】p.146-148
[柔・各・骨]1.頭部・体幹 H.肋骨骨折 ア
【問題の狙い】肋骨骨折の合併症を説明できる。
【解説】
介達外力による単数骨折では肋骨周囲の臓器・組織の重篤な合併症は生じにくいが、交通外傷等の強大な直達外力での発生の場合、2カ所以上で数本の骨折をきたすことが多い。このような場合には、死の転帰をとる重大な合併症を引き起こすことがある。
1.胸膜が損傷され、胸膜腔に気体が貯留した状態を外傷性気胸という。このなかでも緊張性気胸では、胸膜開口部が弁のように作用し、空気は吸気時に流入できるが、呼気時に開口部が閉じ流出できない状態となる。つまり空気の流れが一方通行となってしまう。呼吸を繰り返すと縦隔が健側に圧排される(縦隔偏位)。
2.内胸動脈・静脈の損傷、または肋間動脈の損傷なども起こりうる。これら血管が損傷すると、血胸(血液が胸腔に貯留)となる。
3.特に第11や12肋骨部の強打により腎損傷の合併が生じる。腰痛や血尿等がある場合は腎損傷を疑う必要がある。
4. ティーツェ症候群は第2~5肋軟骨接合部に起こる非化膿性の有痛性疾患である。原因不明で、成人に多い。自発痛や圧痛があり、腫脹を伴うが、熱感や発赤はみられない。多くは自然治癒する。

 

問題13 肩甲骨骨折と関与する筋との組合せで正しいのはどれか。
1. 上角骨折 ――――― 肩甲下筋
2. 肩峰骨折 ――――― 三角筋
3. 下角骨折 ――――― 小円筋
4. 烏口突起骨折 ――― 上腕二頭筋長頭

【解答】 2 【柔理5】p.191-92
[柔・各・骨]2.上肢B.肩甲骨骨折 ア
【問題の狙い】肩甲骨骨折の骨片転位を説明できる。
【解説】
1.上角骨折は肩甲挙筋により近位骨片が内上方へ転位する。
2.肩峰骨折は三角筋により裂離することがある。
3.下角骨折は大円筋や前鋸筋により前外上方に転位する。
4.烏口突起は小胸筋や上腕二頭筋の短頭が付着しており、骨折では前腕回外位で肘関節を屈曲すると疼痛が誘発される。

 

問題14 受傷部位に隣接した関節に運動制限を認めにくいのはどれか。
1. 骨片を伴う上腕骨骨頭骨折
2. 回転転位した上腕骨解剖頸骨折
3. プルオフ(pull off)型上腕骨外顆骨折
4.ファットパッド(fat pad)サインのある上腕骨顆上骨折

【解答】 3 【柔理5】p.193,194,207,214
[柔・各・骨]2.上肢 C.上腕骨近位部骨折 ア E.上腕骨遠位部骨折 ア
【問題の狙い】各種骨折の転位に伴う機能障害を理解できる。
【解説】
1.骨片が肩関節に介在した上腕骨骨頭骨折は亀裂型の骨折と比較して、肩関節の運動制限が強く発現する。
2.骨頭が回転転位した上腕骨解剖頸骨折は噛合した骨折と比較して肩関節の運動制限は強く発現する。
3.上腕骨外顆骨折ではプッシュオフ型に比べプルオフ型は関節面の一部が破綻しても蝶番関節部の機能が比較的保たれるため、肘関節の運動は可能なことが多い。
4.上腕骨顆上骨折は若木骨折であっても肘関節の運動制限が発現しやすく、ファットパッドサインを伴う際には高度に肘関節が過伸展されたにも関わらず、関節包が破れていない状態であり、転位を認める可能性も高いため、高度な肘関節運動制限を認める可能性が高い。

 

問題15 青年期に好発するのはどれか。
1. 上腕骨内側上顆骨折
2. 上腕骨顆上骨折
3. 上腕骨通顆骨折
4. 上腕骨外顆骨折

【解答】 1 【柔理5】p.205-216
[柔・各・骨]2.上肢 E.上腕骨遠位部骨折 ア
【問題の狙い】上腕骨遠位部骨折の好発年齢を説明できる。
【解説】
上腕骨遠位端部の骨折は幼少年期に好発することが特徴とされているが、内側上顆骨折のみは少年期から思春期に好発する。
1.上腕骨内側上顆骨折は骨端核が存在する少年期から思春期に限定的に発生することが知られている。
2.上腕骨顆上骨折は最も発生頻度が高く、フォルクマン拘縮や内反肘にも留意が必要である。
3.上腕骨通顆骨折は顆上骨折に準じて発生するが、成長軟骨板を損傷することによる高度な内反肘に留意が必要である。
4.上腕骨外顆骨折は小児骨折中、最も偽関節となりやすく、更に外反肘を後遺しやすい。

 

問題16 前腕骨骨折で正しい組合せはどれか。
1. 肘頭骨折 ――― 小児に好発する。
2. ガレアジ(Galeazzi)骨折背側型
――― 遠位骨片は掌側に屈曲転位する。
3. ガレアジ(Galeazzi)骨折
――― 後遺症に下垂指がある。
4. モンテギア(Monteggia)伸展型骨折
――― 尺骨の後方凸変形を呈する。

【解答】 2 【柔理5】p.221,224-227
[柔・各・骨]2.上肢 F.前腕骨近位部骨折 ア G.前腕骨骨幹部骨折 ア
【問題の狙い】前腕骨骨折の症状を説明できる。
【解説】
前腕骨部の骨折は2本の骨を有することから治療が困難なことが多い部位である。また、骨折部と筋付着部の位置関係により骨片転位が変化することから筋を熟知する必要がある。
1.肘頭骨折は小児にはまれで成人に多く発生する骨折で上腕三頭筋により延長転位を呈する。
2.ガレアジ骨折は尺骨頭の転位方向により背側型と掌側型と分類される。背側型では橈骨遠位骨片は掌側に屈曲転位し、尺骨頭は背側に脱臼した背側凸変形を呈する。
3. ガレアジ骨折は橈骨骨幹部中央・遠位1/3境界部付近の骨折と尺骨頭の脱臼を合併したものである。尺骨頭の脱臼により合併症に尺骨神経の損傷がある。
4. モンテギア骨折は尺骨骨幹部上・中1/3境界部の骨折と橈骨頭の脱臼を合併したものである。多くは尺骨が前方かつ外方凸に屈曲変形を呈し、橈骨頭は前外方に脱臼した伸展型(前方型)である。

 

問題17 橈・尺両骨骨幹部骨折の固定法で正しいのはどれか。
1. 円回内筋付着部より近位骨折では肘関節直角屈曲位、前腕回外位で固定する。
2. 円回内筋付着部より近位骨折では肘関節鋭角屈曲位、前腕回内位で固定する。
3. 円回内筋付着部より遠位骨折では肘関節直角屈曲位、前腕回内位で固定する。
4. 円回内筋付着部より遠位骨折では肘関節鋭角屈曲位、前腕回外位で固定する。

【解答】 1 【柔理5】p.230
[柔・各・骨]2.上肢 G.前腕骨骨幹部骨折 ア
【問題の狙い】橈・尺両骨骨幹部骨折の固定法を説明できる。
【解説】
前腕骨骨幹部骨折で橈・尺両骨骨幹部骨折では、それぞれの単独骨折よりも治療が困難であり、治療日数も長期を要する。
1.2.円回内筋付着部より近位骨折の固定肢位は、肘関節直角屈曲位、前腕回外位にて固定する。
3.4.円回内筋付着部より遠位骨折の固定肢位は、肘関節直角位、前腕回内回外中間位である。

 

問題18 図の×印の部分を押さえながら、尺屈位から橈屈して疼痛を誘発するのはどれか。
1. 月状骨骨折
2. 舟状骨骨折
3. 豆状骨骨折
4. 有鉤骨鉤骨折

【解答】 2 【柔理5】p.240
[柔・各・骨]2.上肢 I.手根骨骨折 ア
【問題の狙い】舟状骨骨折の症状を説明できる。
【解説】
図の印の部分は舟状骨結節である。舟状骨骨折は、スナフボックスと舟状骨結節に圧痛がみられる。また背屈、橈屈した際に運動痛を認める。舟状骨結節を押さえながら、尺屈位から橈屈させた際に疼痛を誘発させるテストをscaphoid shiftテストといい、認められれば、舟状骨骨折や舟状骨周囲靱帯損傷を疑う。
※scaphoid=舟状骨

 

問題19 下肢長が変化する可能性があるのはどれか。
1. 大転子裂離骨折
2. 小転子裂離骨折
3. 腸骨稜裂離骨折
4. 下前腸骨棘裂離骨折
【解答】 1 【柔理5】p.318-320,328-329
[柔・各・骨]3.下肢 A.骨盤骨骨折 ア
【問題の狙い】骨盤骨と大腿骨近位の裂離骨折の下肢長への影響を理解できる。
【解説】
下肢長は棘果長と転子果長がある。
1.大転子裂離骨折は中殿筋と小殿筋の緊張により延長転位し、転子果長が延長する。
2.小転子裂離骨折は腸腰筋の作用により延長転位を生じる。下肢長には影響しない。
3.腸骨稜裂離骨折は外腹斜筋の作用によって生じる。下肢長には影響しない。
4.下前腸骨棘裂離骨折は大腿直筋の作用によって生じる。下肢長には影響しない。

 

問題20 股関節内転位でのダッシュボード損傷で生じる可能性が高いのはどれか。
1. 股関節後方単独脱臼
2. 寛骨臼骨折
3. 大腿骨小転子骨折
4. 膝関節前方脱臼

【解答】 1 【柔理6】p.365,366,398
[柔・各・複合]3.下肢 A.骨盤骨骨折 ア B.大腿骨近位部骨折 ア A.股関節脱臼 ア C.膝関節脱臼 ア
【問題の狙い】股関節の肢位によるダッシュボード損傷時の受傷機転を理解できる。
【解説】
ダッシュボード損傷は交通事故による高エネルギー損傷のため様々な損傷を来す。
1.股関節内転位の場合、大腿骨頭が寛骨臼後縁部との接地面積が減少するため単独脱臼になることが多い。そのため股関節内転・外転中間位の場合では寛骨臼後縁部の骨折を合併することが多い。
2.股関節が外転位を呈すると、外力と大腿骨頭、寛骨臼が直線上となるため、股関節中心性脱臼となり寛骨臼を骨折する。
3.大腿骨頸部骨折、骨幹部骨折などが生じる可能性はあるが、小転子のみが骨折することは考えにくい。
4.ダッシュボード損傷時に脛骨近位端部を強打すると、膝関節後方脱臼となる。

 

問題21 以下の3つの条件を全て満たすのはどれか。
①下肢は外旋位を呈する。
②内反股を呈する。
③腫脹は大転子部に急速に出現する。
1. 大腿骨骨頭骨折
2. 大腿骨頸部内側骨折外転型
3. 大腿骨頸部内側骨折内転型
4. 大腿骨頸部外側骨折

【解答】 4 【柔理5】p.322-329【柔理6】p.358
[柔・各・骨]3.下肢 B.大腿骨近位部骨折 ア
【問題の狙い】大腿骨近位部骨折の症状を理解できる。
【解説】
大腿骨近位部骨折は、従来の大腿骨頚部内側骨折と大腿骨頸部外側骨折が、それぞれ大腿骨頚部骨折と大腿骨転子部骨折と呼ばれるようになった。今回は旧名称での出題であるが、現状の呼称も柔道整復学・理論編第6版に記載があり、知っておくべきである。
1.大腿骨骨頭骨折は股関節後方脱臼に合併することが多く、股関節は屈曲位、内転位、内旋位を呈する。
2.大腿骨頸部内側骨折外転型は外反股を形成する。腫脹の出現は緩やかである。
3.大腿骨頚頸部内側骨折内転型は腫脹の出現は緩やかである。
4.大腿骨頸部外側骨折では、下肢は外旋し、内反股を形成することが多く、腫脹は大転子部に急速かつ著明に出現する。

 

問題22 足根骨骨折で正しいのはどれか。
1. 距骨後方突起骨折は足関節伸展強制で発生する。
2. 踵骨鴨嘴状骨折はアキレス腱の急激な牽引で発生する。
3. 舟状骨粗面骨折は短腓骨筋の牽引で発生する。
4. 立方骨骨折は足部の外がえしで靱帯の牽引による裂離骨折が発生する。

【解答】 2 【柔理5】p.358-364,410-411【柔理6】p.432-434,444-446
[柔・各・骨]3.下肢 I.足根骨骨折 ア
【問題の狙い】足根骨骨折の発生機序を説明できる。
【解説】
1.距骨後方突起骨折は足関節屈曲強制され、後方突起が脛骨遠位端後縁と衝突して発生する。
3.舟状骨粗面骨折は足部の外転で、後脛骨筋の牽引によって発生する。
4.立方骨骨折は足部の外がえしで中足骨と踵骨の間に挟まれて、胡桃を割るような形で粉砕骨折が発生する。足部の内がえしで背側踵立方靱帯の牽引による裂離骨折が発生する。

 

問題23 指骨骨折でもっとも発生頻度が高いのはどれか。
1. 第3指基節骨骨幹部骨折
2. 第3指末節骨骨折
3. 第2指中節骨骨幹部骨折
4. 第1指末節骨骨折

【解答】 2 【柔理5】p.252-257
[柔・各・骨]2.上肢 G.指骨骨折 ア
【問題の狙い】指骨骨折の発生頻度を説明できる。
【解説】
末節骨骨折は指骨骨折の中で発生頻度がもっとも高く直逹外力によるものがほとんどである。
1.基節骨骨折の発生頻度は比較的高い。
2.末節骨骨折は第3指がもっとも頻度が高い。
3.中節骨骨折は基節骨骨折に比べて発生頻度が低い。
4.第1指末節骨骨折は第3指に次いで多い。

 

問題24 前方脱臼の頻度が高いのはどれか。
1. 胸鎖関節脱臼
2. 肩鎖関節脱臼
3. 肘関節脱臼
4. 股関節脱臼

【解答】 1 【柔理5】p.261-262,271,368
[柔・各・脱]1.頭部・体幹 C.胸鎖関節脱臼 ア
【問題の狙い】胸鎖関節脱臼の分類を説明できる。
【解説】
胸鎖関節脱臼は、前方脱臼、上方脱臼、後方脱臼に分類され、前方脱臼が最も多く発生する。
2.肩鎖関節脱臼では、上方脱臼が最も多い。
3.肘関節脱臼では、後方脱臼が最も多い。
4.股関節脱臼では、後方脱臼が最も多い。

 

問題25 股関節後方脱臼に対するスティムソン(Stimson)法で正しいのはどれか。
1. 背臥位で行う。
2. 大腿を外旋しながら股関節を伸展させる。
3. 助手は上前腸骨棘を把持して骨盤を固定する。
4. 患肢の重さと重力を利用する。

【解答】 4 【柔理5】p.372-373
[柔・各・脱]3.下肢 A.股関節脱臼 ア
【問題の狙い】股関節後方脱臼の整復法を理解できる。
【解説】
股関節後方脱臼の整復法は、牽引法、回転法(コッヘル)法、スティムソン法等がある。
1.牽引法と回転法は背臥位で行う。スティムソン法は腹臥位で行う。
2.回転法の操作である。
3.牽引法の操作である。
4.スティムソン法は、患者をベッドで腹臥位にさせ、患肢をベッドの端より下垂させて股関節と膝関節を90度屈曲位とし、助手に殿部を固定させ、下肢の重さと重力を利用して下腿近位端部を持続的に押し下げて整復する。

 

問題26 膝蓋骨脱臼の素因で正しいのはどれか。
1. 内反膝
2. FTAの増加
3. 外側広筋の脆弱化
4.膝蓋骨高位

【解答】 4 【柔理5】p.375
[柔・各・脱]3.下肢 D.膝蓋骨脱臼
【問題の狙い】膝蓋骨脱臼の発生素因を説明できる。
【解説】
1.膝関節の形態の特性では内反膝ではなく、外反膝による発生が多い。
2.膝関節の外反の指標をFTAにすると、減少するほど高度となる。
3.内側広筋が脆弱化すると膝蓋骨を内側に支持する機構が低下するため、脱臼を惹起しやすくなるが、外側広筋は特に関与しない。
4.全身性関節弛緩による膝蓋骨高位は、膝蓋骨が近位側に引き上げられることで膝蓋大腿関節の不適合により脱臼を助長する。

 

問題27 顎関節脱臼の特徴で誤っているのはどれか。
1. 関節包を破ることなく脱臼する。
2. 比較的、女子に多い。
3. 開口不能となる。
4. 反復性脱臼になりやすい。

【解答】 3 【柔理5】p.134
[柔・各・脱]1.頭部・体幹 A.顎関節脱臼 ア
【問題の狙い】顎関節脱臼の特徴を説明できる。
【解説】顎関節は解剖学的特徴から開口時には亜脱臼状態となり、顎関節脱臼は発生頻度が高い脱臼である。
1.顎関節の関節包は外側靱帯とともに緩く伸長するため、包内脱臼となる。
2.女子は男子に比べ、解剖学的に関節窩が浅いため脱臼しやすい。
3.顎関節脱臼は開口時に発生することが多く、症状は開口状態での断発性固定され、閉口不能となる。
4.習慣性脱臼や反復性脱臼になりやすい。

 

問題28 下図の斜線部に感覚異常が生じることが考えられるのはどれか。2つ選べ。
1. ガレアジ(Galeazzi)骨折
2. コーレス(Colles)骨折
3. 月状骨脱臼
4. 舟状骨骨折

【解答】 2,3 【柔理6】p.293,308,313,320
[柔・各・脱]2.上肢 H.手根骨脱臼 ア
【問題の狙い】月状骨脱臼の合併症を理解できる。
【解説】
図の斜線部は正中神経支配の知覚領域である。1.ガレアジ骨折では尺骨頭の転位により尺骨神経の障害の発生が考えられる。
2.コーレス骨折では骨片転位により橈骨神経、正中神経、尺骨神経の障害の発生が考えられる。
3.月状骨脱臼では、月状骨が掌側に脱臼することで、屈筋腱の下にある正中神経を圧迫することが多い。
4.舟状骨骨折では神経障害の発生は考えられない。

 

問題29 次のうち神経伸長検査はどれか。
1. ジャクソン(Jackson)テスト
2. SLRテスト
3. ケンプ(Kemp)テスト
4. ファーレン(Phalen)テスト

【解答】 2 【柔理5】p.429-435
[柔・各・複合]1.頭部・体幹 F.腰部の軟部組織損傷 ア 【問題の狙い】徒手検査法の目的を説明できる。
【解説】
1.ジャクソンテストは椎間孔を圧迫することで、頚椎部神経根刺激症状の有無を鑑別するものである。
2.SLRテストは腰仙部神経根に対する神経伸長テストで、腰部椎間板ヘルニアの鑑別をするものである。
3.ケンプテストは腰椎部での椎間孔を圧迫する検査で、椎間板ヘルニアの鑑別をするものである。
4.ファーレンテストは両手関節を最大屈曲させることで、正中神経を圧迫し手根管症候群の有無を鑑別する。

 

問題30 患者に手指の伸展と手関節の背屈を指示すると図のような状態となった。左手は健側、右手は患側である。前腕の末梢神経障害のうち考えられる疾患で、麻痺を免れる筋はどれか。
1. 短橈側手根伸筋
2. 長橈側手根伸筋
3. 回外筋
4. 長母指伸筋

【解答】 2 【柔理5】p.306
[柔・各・軟]2.上肢 C.肘部の軟部組織損傷 ア
【問題の狙い】後骨間神経麻痺の症状を理解できる。
【解説】
図はドロップフィンガーの状態である。ドロップフィンガーは後骨間神経麻痺の特徴的な症状である。後骨間神経は橈骨神経の運動枝であるため、運動麻痺はあるが感覚麻痺はない。ドロップフィンガーは手指を伸展できない状態であるが、手関節の背屈も正常にできるわけではない。手関節の背屈を指示すると通常の背屈ではなく、橈屈しながらの背屈をする。これは、上腕骨外側上顆から起始し第2中手骨底に停止する長橈側手根伸筋が麻痺を免れているからである。

 

問題31 パンナー(Panner)病で正しいのはどれか。
1. 青壮年に好発する。
2. 非利き手に発生する。
3. 野球や外傷歴が関与する。
4. 予後良好である。

【解答】 4 【柔理5】p.307
[柔・各・軟]2.上肢 C.肘部の軟部組織損傷 ア
【問題の狙い】パンナー病の概要を説明できる。
【解説】
パンナー病は上腕骨小頭が壊死に陥る骨端症であり、発生頻度は低い。
1.5〜10歳の男子に好発する。
2.利き手に発生する。
3.野球や外傷歴と関係なく発症するため、離断性骨軟骨炎と鑑別する。
4.予後良好で後遺症はほとんどない。

 

問題32 発育性股関節形成不全の治療に用いるのはどれか。
1. ベーラー(Böhler)法
2. クラッチフィールド(Crutchfield)牽引
3. デニス・ブラウン(Denis Browne)副子
4. リーメンビューゲル(Riemenbügel)装具

【解答】 4 【柔理5】p.161-163【整形】45-46,223,261
[柔・各・軟]3.下肢 A.股関節部の軟部組織損傷 ア
【問題の狙い】発育性股関節脱臼の治療装具を説明できる。
【解説】
発育性股関節形成不全では開排位を維持するために4.の装具を用いる。
1.は椎体圧迫骨折に用いられる反張位での整復法である。25~30㎝高さの差のある2個の台を用意し、高いほうに顎および上肢を乗せ、低いほうに大腿部を乗せ体幹を反張位とし整復する。
2.は頭蓋骨直達牽引ともいうが、頭蓋骨の外板につめを立て、これに接続したクラッチフィールドを重錘で牽引する。頸椎の脱臼の整復や固定に用いたり、頸椎症性頸髄症、神経根症の治療に用いることがある。
3.は先天性内反足(足の尖足、回外、前足部内転の変形)に用いる副子である。
4.は発育性股関節脱臼の治療で用いられる。胸部から下腿および足部までの距離を制限することにより、股関節の伸展のみを制限する。股関節を屈曲90度から100度になるように紐の長さを調節して装着する。

 

問題33 弾発股で轢音を聴取することが多いのはどれか。
1. 関節内型の股関節唇断裂
2. 関節内型の関節内遊離体
3. 関節外型の内側型
4.関節外型の外側型

【解答】 4 【柔理5】p.385
[柔・各・軟]3.下肢 A.股関節部の軟部組織損傷 ア
【問題の狙い】弾発股の分類を説明できる。
【解説】
轢音を聴取できるのは4.の関節外型である。また発生頻度も関節外型に多く、弾発現象が起きるのは大転子と腸脛靱帯または大殿筋前縁との滑動障害によるものがほとんどである。
1.2.は発生頻度が低い。
3.の内側型は腸腰筋腱と大腿骨頭や腸恥隆起との滑動障害である。

 

問題34 下腿骨骨折の外固定後、同部に激しい疼痛と他動による筋伸長時の疼痛増強をみた。誤っているのはどれか。
1. 打撲や筋挫傷によっても発生する。
2. 浅後部区画に多発する。
3. 運動障害や感覚障害を認めることがある。
4. 筋区画の内圧上昇が関与する。

【解答】 2 【柔理6】p.423-424
[柔・各・軟]3.下肢 D.下腿部の軟部組織損傷 ア
【問題の狙い】下腿部のコンパートメント症候群を理解できる。
【解説】
下腿部のコンパートメント症候群は筋区画内の内圧上昇によって生じたものである。
1.骨折や打撲、筋挫傷により発生する。
2.下腿部の好発部位は、前方筋区画や外側筋区画である。
3.運動障害や感覚障害を呈する。
4.筋区画の内圧上昇が関与し、それを判断した場合、直ちに外固定を外す。さらに症状の改善を認めない場合は観血療法の適応になることがある。

 

問題35 モートン(Morton)病で正しいのはどれか。
1. 足背神経が絞扼される。
2. 足根管部叩打により疼痛が放散する。
3. 第3、4中足骨頭に好発する。
4. 足趾の運動が障害される。

【解答】 3 【柔理6】p.456
[柔・各・軟]3.下肢 E.足部の軟部組織損傷 ア
【問題の狙い】モートン病の概略、特徴、症状を説明できる。
【解説】
モートン病は中足骨頭間において足底神経が肥厚し絞扼する疾患で、第3、4中足骨頭間に好発する。
1.絞扼されるのは足底神経である。
2.中足骨頭間を足底から叩打することにより放散痛が出現する。
3. 第3、4中足骨頭間が好発部位である。
4.足趾の感覚障害が主症状であり運動は制限されない。

 

問題36 42歳の男性。中肉中背である。腰部に手を当てた状態で来所した。
患者の主訴を的確に聴取するために柔道整復師が問診を行う上で最も正しい質問はどれか。
1. 「すごく腰が痛いのですね」
2. 「その歩き方はぎっくり腰ですね」
3. 「一番つらいのはどんなことですか」
4. 「足に痺れはありますか」

【解答】 3 【柔実】p.6-8
[柔・総]2.運動器損傷の診察 C.病歴聴取 ア イ オ
【問題の狙い】問診に関する知識を応用し、質問方法を選択できる。
【解説】
患者の損傷や疾患は種々あり、考えられる損傷や疾患の中から疾患名を想定し施術プログラムを作成しなければならない。そのため、主訴を聴取する必要がある。聴取方法としては、まず開かれた質問で「最も困っていること」を聞く。
1.腰部に手を当てていたことから、腰部痛を決めて質問している。
2.患者の歩容から疾患名を決定して質問している。
3.開かれた質問で患者の主訴を質問できている。
4.痺れの有無を質問しているので閉ざされた質問である。

 

問題37 5歳の男児。急な鳴き声で母親が部屋に駆けつけると左肘を押さえて大声で泣いている次男をみつけた。一緒に遊んでいた長男に問いただすとイスに乗って遊んでいて落ちたとのことである。慌てて母親の行きつけの接骨院に来所した。
肘関節の外観には特に顕著な左右差はなく、皮下出血やディンプル(dimple)サインも認めないが、患側には若干の腫脹と肘窩横紋の直上に圧痛を認める。他動的に前腕を回旋しても制限や疼痛は認めないが、肘関節を屈曲すると、強い抵抗性を示し、上腕三頭筋が索状に硬く触れる。
外傷の病態がはっきりしなかったが、肘関節100度・前腕回外位にクラーメル副子で固定し、三角巾を施して近隣の医療機関を受診してもらうことにした。
考えられる外傷はどれか。
1. 橈骨頭骨折
2. 上腕骨顆上骨折
3. 肘関節後方脱臼
4. 肘内障

【解答】 2 【柔理5】p.207-209,218-220,
271-272,275-276
[柔・各・骨]2.上肢 E.上腕骨遠位部骨折 ア
【問題の狙い】肘関節周囲の外傷の知識を応用し、外傷の病態を判別できる。
【解説】
1.肘関節の腫脹から橈骨近位端骨折の可能性は否定できないが、前腕の回旋が可能なことと、年齢的には橈骨頸部骨折の発生の可能性が高いことから橈骨頭骨折は否定できる。
2.肘関節の腫脹と限局性圧痛のみでは肘関節の軟部組織損傷との鑑別は困難であるが、他動的屈曲に強い抵抗性を示すことは、上腕骨が強く伸張されたことが推測され、上腕三頭筋が索状に触れることで、大きな転位は無いが若木骨折程度の骨損傷の可能性が高い。
3.圧痛部位と上腕三頭筋の状態から肘関節が強く伸展されたことが示唆されるが、顕著な変形も認めないことや年齢的にも肘関節脱臼より上腕骨顆上骨折に至るのが一般的と考えられる。
4.受傷機転が確認出来ないことや、外観に顕著な左右差や腫脹も軽度であり、肘関節の屈曲に抵抗性を示すことから、肘内障の可能性否めないが、前腕の回旋に制限や疼痛を認めないことから、肘内障の可能性は否定できる。

 

問題38 25歳の男性。スキーで斜面を滑走中にバランスを崩して転倒。その際ストックのストラップに右手母指が引っ掛かり、外転が強制され負傷した。負傷部に著明な限局性圧痛と腫脹がみられ、図のような骨折を呈していた。
この症例で正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 遠位骨片は長母指伸筋の収縮により中枢側へ転位する。
2. 整復は容易であるが再転位しやすい。
3. 第1中手骨は最大外転位で固定する。
4. 固定期間は2週間とする。

【解答】 2,3 【柔理5】p.250-252
[柔・各・骨]2.上肢 J.中手骨骨折 ア
【問題の狙い】ベネット骨折に関する知識を応用し、病態や治療法を選択できる。
【解説】
本症例は、発生機序および図からベネット骨折と考えられる。
1.遠位骨片の中枢側への転位に関与する筋は長母指外転筋である。また、母指内転筋の作用により内転屈曲方向に転位が生じる。
2.脱臼骨折のため、不安定である。整復後、牽引力と圧迫力を緩めると、長母指外転筋の作用により直ちに再転位する。
3.手関節を伸展(背屈)位かつ橈屈位とし、第1中手骨最大外転位で、前腕遠位端部から基節骨までを固定する。
4.固定期間は3~5週間である。

 

問題39 22歳の男性。スノーボード中、逆エッジで転倒した際に左足関節を負傷する。足関節全体に腫脹があるが、足関節および足部に変形はみられない。外果の深部に圧痛がある。足関節を外反強制した際に疼痛が増強し、軋轢音を触知した。足趾の自動運動は正常である。
この外傷で正しいのはどれか。
1. 足底の感覚障害を合併しやすい。
2. 有痛性三角骨障害と類似する。
3. ズデック(Sudeck)骨萎縮を後遺する。
4. 単純エックス線像で見落とされることが多い。

【解答】 4 【柔理6】p.432-433
[柔・各・骨]3.下肢 I.足根骨骨折 ア
【問題の狙い】距骨骨折に関する知識を応用し、病態を判断できる。
【解説】
軋轢音が触知したことから、骨折の可能性が考えられる。足関節および足部に変形がみられないことから、転位のある骨折は可能性が低くなる。足関節全体に腫脹がみられることから、関節内に損傷があることが考えられる。外反強制で疼痛が増強することから、足関節外側靱帯損傷の可能性が低くなる。これらの情報と外果の深部に圧痛があることから、距骨外側突起骨折が最も考えられる。確定診断には画像診断が必要である。距骨外側突起骨折は足関節伸展(背屈)強制で内転あるいは軸圧、外反、外旋など様々な説があるが、スノーボードによる発生の報告が多い。
1.頸部・体部骨折で骨片が後方転位した場合、後脛骨動脈、脛骨神経が障害されるため、足底の感覚障害を合併する。変形がないこと、足趾の自動運動が正常でナウマン徴候はみられないことから、転位のある頸部・体部骨折は可能性が低く、脛骨神経障害も合併しづらいと考えられる。
2.有痛性三角骨と鑑別を要するのは距骨後方突起骨折である。
3.ズデック骨萎縮が後遺するのは踵骨骨折である。
4.外側突起は腓骨外果と踵骨に挟まれた位置にあり、単純エックス線像では周囲骨と重なり骨折が見落とされることが多い。このためCT像などの有用性が報告されている。外側靱帯損傷と症状が類似する。

 

問題40 42歳の男性。キャンプ場で酒を飲み過ぎて酔っ払い、宿泊施設の2段ベッドの上段から落ちて受傷した。その様子を見ていた者によれば、転落の際ベッドの枠に右下肢が引っかかったという。宿泊施設に居合わせた柔道整復師が確認したところ、右股関節部の激痛を訴え、股関節は外転・外旋位を呈している。右下肢は動かせず、鼡径部に骨性隆起を認め、股関節の弾発性固定を確認できた。
この損傷で感覚異常が生じる可能性のある部位はどれか。
1. a
2. b
3. c
4. d

【解答】 3 【柔理5】p.373-374
[柔・各・脱]3.下肢 A.股関節脱臼 ア
【問題の狙い】股関節前方脱臼に関する知識を応用し、合併症を判断できる。
【解説】
死体を用いた実験によれば、股関節前方脱臼は股関節の外転と外旋の強制で、股関節屈曲位でこれらの外力が加われば恥骨下脱臼となり、過伸展位で加われば恥骨上脱臼になるとされている。本症例では、2段ベッドから転落の際に股関節が伸展、外転、外旋を強制されて生じたと考えられる。股関節前方脱臼は、大腿神経損傷を合併することがある。
1.閉鎖神経領域で、閉鎖神経損傷は恥骨下脱臼に合併することがある。
2.総腓骨神経領域である。
3.伏在神経領域である。伏在神経は大腿神経由来で、大腿神経損傷は恥骨上脱臼に合併することがある。
4.浅腓骨神経領域である。

 

問題41 20歳女性。昼休み中にハンバーガーをほうばった直後より、半閉口不能となり、会話も困難となった。
オトガイ部は左側に変位し、下顎歯列は上顎歯列の前方に転位していた。
最も考えられるのはどれか。
1. 右顎関節後方脱臼
2. 左顎関節後方脱臼
3. 右顎関節前方脱臼
4.左顎関節前方脱臼

【解答】 3 【柔理5】p.134-139
[柔・各・複合]1.頭部・体幹 A.顎関節脱臼 ア
【問題の狙い】顎関節脱臼の知識を応用し、病態を判断できる。
【解説】
顎関節前方脱臼は両側脱臼と片側脱臼とに分類される。発生機序は、極度の開口時に関節頭が関節結節を越え、前方に転位する。
患者は、閉口不能で談話困難となり、下顎歯列は上顎歯列の前方に偏位し、弾発性固定状態となる。
片側脱臼は、両側脱臼ほど症状が著明ではなく、半開口状態で、オトガイ部は健側に偏位し、患側の耳孔前方に陥凹を触知する。後方脱臼の発生はきわめてまれで、閉口時に前方からオトガイ部に受けた強力な外力などで起こる。

 

問題42 20歳の男性。大学で野球部に所属している。最近、投球時に右肩関節の疼痛が出現するため来所した。圧痛部は肩峰のやや下方にあり、上肢の感覚障害や握力の低下はみられない。肩周辺の軟部組織損傷を疑いテスト法を実施したところ、ヤーガソン(Yergason)テスト、スピード(Speed)テストは陰性であった。また、アドソン(Adson)テスト、モーリー(Morly)テストも陰性であった。肩関節を内旋させた状態で肩峰部を上から把持しつつ挙上させたところ、肩峰下に疼痛が誘発された。
この症例で最も考えられるのはどれか。
1. 肩峰下インピンジメント症候群
2. 上腕二頭筋長頭腱炎
3. 胸郭出口症候群
4. リトルリーガー肩

【解答】 1 【柔理6】p.250-252
[柔・各・軟]2.上肢 A.肩部の軟部組織損傷 ア
【問題の狙い】肩関節周囲の軟部組織損傷とテスト法に関する知識を応用し、病態を判断できる。
【解説】
肩峰下インピンジメント症候群は、肩関節の挙上時に、腱板および滑液包が烏口肩峰アーチと大結節との間で挟まれる疾患で、肩峰下に疼痛を認める。
1.肩関節を内旋させた状態で肩峰部を上から把持しつつ挙上させると疼痛が誘発さる。(ニア法)。ニア法は代表的な肩峰下インピンジメント症候群のテスト法である。
2.ヤーガソンテスト、スピードテストが陰性であることから、上腕二頭筋長頭腱炎は否定される。
3.アドソンテスト、モーリーテストは胸郭出口症候群のテスト法であり、陰性であることから否定される。
4.リトルリーグ肩は小児期の肩に発生する投球障害で、病態は上腕骨近位骨端線の損傷である。

 

問題43 50歳の男性。職業上、荷物の運搬や、手を挙げた状態で作業をすることが多い。定期的に肩から背部にかけての筋疲労はあったが、1か月ほど前から右肩の違和感や使いにくさが出現していた。最近になって右肩の丸みに左右差があることに気づき来所した。右肩関節の後面に筋の硬結が触知され、強く押すと圧痛を訴える。外観上では三角筋に軽度の萎縮が認められ、肩関節外側部に感覚障害がみられた。念のため近医を紹介し単純エックス線写真を依頼したが、画像上の異常所見はみられなかった。
この症例で正しいのはどれか。
1. ベネット(Bennett)損傷
2. 陳旧性腱板断裂
3. SLAP損傷
4. 四辺形間隙症候群

【解答】 4 【柔理6】p.254
【問題の狙い】肩関節周囲の軟部組織損傷に関する知識を応用し、病態を判断できる。
【解説】
四辺形間隙は小円筋、大円筋、上腕三頭筋長頭、上腕骨に囲まれた間隙で、ここを通る腋窩神経が絞扼されたものを四辺形間隙症候群という。腋窩神経が絞扼されると肩関節外側部の感覚障害、三角筋の萎縮、肩関節外転力低下が生じる。
1.ベネット損傷は野球選手の上腕三頭筋付着部にみられる骨棘形成で、四辺形間隙症候群の原因となり得るが、この症例では単純エックス線で異常所見を認めておらず、考えにくい。
2.陳旧性の腱板断裂では肩関節外転力の低下や腱板構成筋の萎縮がみられるが、腋窩神経の絞扼は通常みられない。
3.SLAP損傷は上腕二頭筋長頭腱の牽引力によって発生する関節唇上方部の裂離であり、肩後方の圧痛や神経麻痺はみられない。

 

問題44 11歳の男子。小学校低学年から野球をしていて、右投げ右打ちである。3週間前より右肘外側の痛みがあり、最近は痛みのために塁間も投球できない。エックス線検査をしたところ、上腕骨小頭に異常所見がみられた。
野球の投球動作で特に負担のかかる投球相はどれか。
1. ワインドアップ期
2. コッキング期から加速期
3. 加速期からフォロースルー期
4. ボールリリース時

【解答】 3 【柔理5】p.301
[柔・各・軟]2.上肢 C.肘部の軟部組織損傷 ア
【問題の狙い】野球肘に関する知識を応用し、病態を判断できる。
【解説】
野球肘は、野球の投球によって生じる障害である。内側型、外側型、後方型に分類され、多くは内側型である。内側型はコッキング期から加速期に肘に強い外反力がかかり、それを前腕回内筋群が収縮することで発生する。外側型は加速期からフォロースルー期に強い外反力がかかり、上腕骨小頭と橈骨頭に圧迫力がかかり発生する。後方型は、ボールリリース後に肘関節が過伸展することで肘頭と肘頭窩でインピンジメントが発生する。問題は痛みの場所とレントゲン検査より外側型が疑われるため、解答は3.加速期からフォロースルー期となる。

 

問題45 40歳の男性。ゴルフでスイングした際に右手関節に痛みを感じた。翌日、車のエンジンをかけようと鍵を回した際にも痛みを感じたため、来所した。握力は健側比で低下がみられた。回内、回外位で尺屈を行うと手関節尺側部に疼痛を誘発した。昔、病院で手関節の単純エックス線検査を受けた際に、骨の段差があると言われたことを図で説明してくれた。
疑われる疾患はどれか。
1. TFCC損傷
2. キーンベック(Kienböck)病
3. ギヨン(Guyon)管症候群
4. 手根管症候群

【解答】 1 【柔理5】p.309,435【柔理6】304,321,478
[柔・各・軟]2.上肢 E.手関節部・手指部の軟部組織損傷 亜
【問題の狙い】TFCC(三角線維軟骨複合体)損傷に関する知識を応用し、病態を判断できる。
【解説】
橈骨の長さに対する尺骨の長さの変異を尺骨バリアンスという。図の説明から尺骨が相対的に長いため、尺骨プラスバリアンスであることが考えられ、これを尺骨突き上げ症候群という。TFCCにかかる圧がかかりやすい状況となっている。回内、回外位で尺屈した際に手関節尺側部に疼痛を誘発した場合はTFCC損傷が考えられる(TFCCテスト)。TFCC損傷では鍵を回す動作(尺屈位で回外動作)で疼痛が誘発される。これらの情報から総合的にTFCC損傷が最も考えられる。
2.キーンベック病は月状骨軟化症であり、疼痛部が異なる。また尺骨マイナスバリアンスの場合になりやすい。
3.4.訴えに痺れがないため考えづらい。

 

問題46 40歳の女性。地域のママさんバレーボールチームに所属している。試合を行った際、相手のアタックをブロックした時にボールが右示指に当たった。痛みはあったもののそのまま試合に参加した。試合後湿布を貼って様子を見ていたが、翌朝になって右示指DIP関節が伸展できないことに気づき来所した。初見時、末節骨基部に限局的な圧痛はなく、腫脹もあまりみられなかった。DIP関節を他動的に伸展させることは可能であった。
この症例で正しいのはどれか。
1. 末節骨が骨折している可能性が高い。
2. このまま放置するとスワンネック様変形をきたす。
3. 正中索が損傷している。
4. DIP関節が伸展できないのは橈骨神経麻痺による。

【解答】 2 【柔理5】p.258-260,317
[柔・各・軟]2.上肢 F.手関節部・手指部の変形および腱損傷 ア
【問題の狙い】マレットフィンガーの知識を応用し、病態および予後を予測できる。
【解説】
本症例の発生機序および症状からマレットフィンガーであることが推察できる。
1.DIP関節部に限局的な圧痛はなく、腫脹もあまりみられなかったことから、骨折の可能性を否定する。
2.スワンネック変形はDIP関節屈曲、PIP関節過伸展の変形である。白鳥の首に似た変形となる。終止腱が断裂したまま放置すると、正中索の牽引が相対的に強くなり、スワンネック変形を生じる。
3.正中索ではなく終止腱の断裂である。正中索断裂の場合にきたす変形はボタン穴変形である。
4.指にボールが当たり、橈骨神経を損傷するとは考えにくい。また、問題文中にも神経損傷に関する記載は見当たらない。

 

問題47 12歳の男子。膝から股関節にかけて痛みがあると来所した。精査すると股関節に可動域制限がみられた。背臥位で膝を胸につけるように股関節を屈曲していくと図のような状態となった。
最も考えられるのはどれか。
1. 特発性大腿骨頭壊死症
2. ペルテス(Perthes)病
3. 大腿骨頭すべり症
4. 変形性股関節症

【解答】 3 【柔理5】p.386-388
[柔・各・軟]3.下肢 A.股関節部の軟部組織損傷 ア
【問題の狙い】大腿骨頭すべり症の知識を応用し、病態を判断できる。
【解説】
図は選択枝3の大腿骨頭すべり症のすべりが強くなった状態でみられるドレーマン徴候である。大腿骨頭は後下方(後内方)にすべる。動かすと骨頭は関節窩にあるので結果的に遠位の骨幹部が外転・外旋方向に移動していく。
1. 特発性大腿骨頭壊死症は、ステロイド投与歴や、アルコール多飲の男性に好発する。可動域制限がみられるが、初期には軽度で外転・内旋が制限され、進行に伴って可動域範囲は減少してくる。
2. ペルテス病の早期臨床症状は、疼痛を回避する結果生じる跛行が最も多い。
4.変形性股関節症では一次性と二次性があり、一次性は加齢により発症し、二次性は先天的・後天的変形があり発症する。一般的に疼痛とともに股関節の可動域制限が生じる。進行に伴い内旋、外転制限、次いで屈曲、伸展制限が起こる。外旋、内転が障害されることは少ない。

 

問題48 20歳の女性。高校3年生の時に体育のバスケットボールの際に膝部を損傷している。当時、来院した医科では内側側副靱帯損傷と診断され治療していた。治療終了後も運動後は膝部に痛みはあったが、軽度な痛みのため特別気にしてはいなかった。最近になって歩行時に痛みと、たまに膝が崩れることを自覚し、接骨院に来所した。柔道整復師が徒手検査法を施行した際、牽引アプライテストは陰性であったが、膝関節の過伸展を強制すると内側の関節裂隙部に疼痛を認めた。
この疾患で他にもみられる所見はどれか。
1. ラックマンテスト(Lachmann test)陽性
2. 大腿四頭筋の萎縮
3. 脛骨粗面部よりやや内側部の圧痛
4. 関節血腫

【解答】 2 【柔実】p.382
[柔・各・軟]3.下肢 C.膝関節部の軟部組織損傷 ア
【問題の狙い】膝部軟部組織損傷に関する知識を応用し、病態を判断できる。
【解説】
本症は歩行時痛、膝崩れ、膝関節の過伸展を強制すると内側の関節裂隙部に疼痛を認めた(ワトソン・ジョーンズテスト陽性)から半月板損傷が疑われる。過去、内側側副靱帯損傷の際に合併していたものと考えられる。
1.前十字靱帯損傷を対象とした徒手検査法である。
2.陳旧例の半月板損傷では大腿四頭筋の萎縮が認められる。
3.この部は鵞足炎の圧痛箇所である。
4.半月板損傷の新鮮例で関節血腫は著明である。

 

問題49 40歳の男性。バレーボールのアタックをした際、右踵付近にボールが当たったような感覚を受けてから歩行が困難になったため来所した。
初検時、腹臥位で両膝関節90度屈曲とし、両下肢を脱力した状態で左右差を比較したところ、健側足関節は尖足位を呈し足底面は斜め上方を向いていたが、患側の足関節は中間位を呈し足底面は水平であった。また、受傷部に軽度の疼痛を訴えていた。
正しいのはどれか。
1. 腓腹筋内側頭部に陥凹を認める。
2. このテスト法はトンプソン(Thompson)テストと言う。
3. 非荷重時の足関節自動屈曲は可能である。
4. 保存療法の場合は受傷後24ヵ月まで再断裂に注意する。

【解答】 3 【柔理6】p.421-422【柔実】p.386-397
[柔・各・軟]3.下肢 D.下腿部の軟部組織損傷 ア
【問題の狙い】アキレス腱断裂に関する知識を応用し、病態や治療法を判断できる。
【解説】
アキレス腱断裂はスポーツ活動によって発生することが多く、跳躍動作の着地時に好発する。
1.アキレス腱狭窄部に陥凹を認める。
2.この問題のテスト法は、マトレステストである。トンプソンテストは、膝座位(膝関節屈曲位)で足関節以下をベッドの端から出し、下腿を絞る(把握する)テスト法で、その際に足関節の屈曲をみない場合は陽性である。
3.非荷重時は、アキレス腱が断裂していても足関節屈筋により足関節屈曲は可能である。
4.保存療法の場合は受傷後6ヶ月まで再断裂に注意を要する。

 

問題50 13歳の女子。マラソン大会の練習に励んでいたが、左足内果前方部の内側縦アーチ頂上付近に疼痛が出現し来所した。同部に豆粒大の硬い腫瘤を触知し、その部分を圧迫すると強い圧痛を認めた。さらに、内側縦アーチの低下がみられ、最近体重が増加したとのことである。
誤っているのはどれか。
1. 運動量増加が原因の一つである。
2. 前脛骨筋が関与する。
3. 下腿屈筋群のストレッチを指導する。
4.足底板を挿入する。

【解答】 2 【柔理6】p.453
[柔・各・軟]3.下肢 E.足部の軟部組織損傷 ア
【問題の狙い】有痛性外脛骨に関する知識を応用し、病態や治療法を判断できる。
【解説】
有痛性外脛骨は、10~15歳の女性に多く、内側縦アーチの低下や体重増加、運動量増加が関係すると言われているものである。
1.体重の増加や運動量の増加が有痛性外脛骨の発生因子として考えられている。
2.舟状骨に停止する筋であり、内側縦アーチ保持に関与するのは後脛骨筋である。
3.後脛骨筋は下腿屈筋群であるため、ストレッチで筋の柔軟性を得ることは重要である。
4.内側縦アーチ低下を補助するために足底板を挿入する。

 

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